マドンナ・大学編・その1

私は大学入学と同時に、師の寺院に寄宿していましたが、都合により離れた期間があったことは、以前に書きました。理由は、檀家や知人からのクレームだったのですが、実は2度あったのです。

マドンナと出会ったのは、その2度目のときでした。当時、私は数百万円という金を所有していましたので、部屋は大学前の、本通りにある喫茶店の2階に借りました。大学まで、徒歩2分という便利な場所でした。本来、その喫茶店の経営者が借りて住むように出来ていたのですが、喫茶店のオーナーはすでに家を購入していたので、空き家となっていたのです。

2DK、風呂、トイレ付きで、当時の相場で家賃は、月額5万5千円でした。六畳二間でしたので、十分な広さだったのですが、そこにある居候が転がり込んできたのです。
その男、M・Yはある事情があって、親に勘当され、金銭的な援助が期待できないので、私に縋り付いてきたのです。

私の方も、多分3,4ヶ月、長くても半年のことだと思っていましたので、仕方なく居候を認めたのですが、それがもう、アルバイトはしていたようですが、貧乏極まりなかったので、二人でいるときは全て私の奢りでした。

喫茶店、ゲームセンター、ボーリング、食事等々、とにかく私にたかるのです。まるで、ヒモ状態でした。(私にその気はありません)
M・Yは非常にハンサムな男でした。以前書いた大親友・Aと比べても遜色がなかったほどです。あらためて思い出してみると、私の周りには美男美女が多かったように思います。

ともかく、ある日そのM・Yが私に、
『安岡、もの凄い可愛い女性を見つけた。お前も一緒に見に行かないか』
と、仰々しく言うのです。
当時、私は女性に興味がありませんでした。そう言うと、変な風に誤解されそうですが、そうではなく、毎朝5時に起きて、師の寺院へ赴き、庭掃除など一切合財の雑用を済ませてから、大学の授業(語学とゼミのみですが)に出て、授業が終わると、また師の寺院に戻り、薫陶を受けるといった生活をしていたものですから、女性とデートをする暇がなかったのです。

いや、暇ならどうにでも作り出すことが出来たでしょうが、少々大袈裟に言えば、
『師の下で生活をする大学の4年間、己の精進次第で先の人生が決まる』
と、真剣に考えていましたので、女性に現を抜かすことなど言語道断だったのです。

ですから、
『興味ない』
と、けんもほろろに断りました。
ところが、M・Yはしつこく誘うものですから、一度だけと思い、誘いに応じたのでした。

その喫茶店・Gは、大学本通りから1本北の筋の、住宅が建ち並んだ、どん突きにありました。私の住んでいる場所からすぐ裏手になるのですが、なにせ住宅街ですので、とても喫茶店があるとは思えない場所でした。

『こんな辺鄙なところに喫茶店が?』
M・Yの話によると、大変に流行っている店だと言うことなので、彼の言う『可愛い女性』というのは、よほどの女性なのだろうと想像しました。

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