サッカーブラジルW杯・準決勝

『サッカーブラジルW杯・準決勝』

 

準決勝の2試合が行われ、ドイツとアルゼンチンが決勝に進出しました。手前みそながら、予想が当たったというわけです。

 

ブラジル-ドイツ

7-1というブラジルは64年ぶりの得失点差で敗れるという歴史的大敗を喫してしまいました。 とはいえ、もちろん両者の実力の差がこれほどあったわけではありません。サッカーというスポーツは、流れ一つでブラジルのような強者をも地獄に落とすスポーツということです。先制点を奪われ、『しまった!』という感情が芽生え、2点目を奪われ大きく動揺した。ここで勝負はほぼ決してしまった。ドイツ相手に2点差はあまりに大きいですからね。3点目が駄目押しとなり、すっかり戦意を無くしたというところでしょう。したがって、4点目以降は蛇足、おまけのようなものです。

 

やはり、ブラジルはネイマールの欠場が大きかったですね。トータルの戦力というより、彼の突破力を失ったのが大きかった。もし、彼が出場していれば、個人技で先制点を奪えたかもしれない。そうなれば試合展開はまるっきり違ったものになったでしょう。しかし、

ドイツに先制点を奪われてしまった。ブラジルの選手たちには一層のプレッシャーが掛かってしまった。

 

ネイマールの欠場は、想像以上に他の選手の精神的負荷を掛けていたようです。ただでさえ、自国開催、また大会前の民衆デモによって、選手たちには優勝するしかないと決死の覚悟だったのでしょう。そこにネイマールの負傷です。選手たちの精神は風船のように張り詰めていた。先制点を取られ、風船から空気が漏れ始めたが、ブラジルの選手たちには、空気漏れを直す手立てに追われているうちに2点目を取られ、空気漏れはさらに加速し、3点目でとうとう破裂した。そういう意味では、グランド上の精神的な支柱だった主将のチアゴ・シウバの欠場も痛かったですね。やはり、厳しい南米予選を戦ってこなかったツケを払わされた恰好となってしまいました。

(TBSのNEWS23だったと思います。スポーツコーナーで、『ブラジルは大会から去

った』などとアホなことを言っていましたね。3位決定戦が有るのを知らないようです)

 

オランダ-アルゼンチン

こちらは延長を戦って0-0のスコアレスで、PK戦の末、アルゼンチンが勝ち上がりました。開始から終了まで、緊張感のある引き締まった良い試合でした。PK戦まで行ったので死闘と言えば死闘かもしれませんが、野球で言えば、壮絶な打ち合いではなく、ヒットも少なく、ランナーも滅多に出ない0-0の緊迫した投手戦といったところでしょうか。実際、延長120分戦って、シュート数はオランダが8本、アルゼンチンが7本と少なく、決定機もほとんどなかったので、見ごたえがなかったようにも見えたと思います。しかし、これはアルゼンチンが引き気味のショートカウンター狙いだが、枚数を掛けるというわけにはいかず、オランダはオランダでポゼッションしようと思うのだが、メッシの存在が邪魔になって、両SBを上げるという深い入りができない。お互いに守備の意識が高く、ミスした方が負けといった非常に締まった試合内容だったと思います。とくにアルゼンチンはメッシもそれなりに守備をしていましたし、ベルギーより一段上の攻撃力のあるオランダを封じ込めました。PK戦になって、オランダはさすがにコスタリカ戦と同じ手を使うわけにもいかず、こうなると、コスタリカ戦で交代させられたオランダのGKにも選手内にも微妙な失敗感が働いてしまった。(失敗ではないのだが、コスタリカ戦があまりにも見事に当たったため、なんとなく受け身になったように思う)

 

さて、決勝ですが、条件的にはドイツが有利です。決勝戦までアルゼンチンが中3日なのに対して、ドイツは1日多い中4日です。大会の序盤であれば問題ないのですが、決勝戦に来ての丸一日の差は大きい。しかも、ドイツが90分で決着が付いたのに対して、アルゼンチンは120分戦い切った。これは体力回復という面では大きな差と言えるでしょう。

 

しかし、メンタル面ではアルゼンチンが有利と見ます。ドイツは通算対戦成績で分が悪意ブラジルを完膚なきまでに叩きのめし、同時に2002年の決勝での屈辱を晴らました。これは一種の達成感が支配します。前回記述したように強靭なメンタルを持つドイツでも、それは苦境にあったときに発揮されるもので、自分たちが優位に立った場合はわかりません。条件面では自分たちが有利であり、優勝候補筆頭のブラジルを倒したのだがら、優勝して当り前とまではいかなくても、周囲はドイツ有利と書き立てるでしょう。この雰囲気の中で戦うのはいかなドイツでも厳しいのではないかと推察します。

 

スコア的にはアルゼンチン勝利ならば1-0か、延長に入っての2-1といったところでしょうか。ファンペルシーやロッベンといった非常に個の能力の高い攻撃は防げましたが、ドイツは連携で崩してくるので、アルゼンチンが対応出来るかどうかです。ドイツはもちろん最少スコア勝ちも考えられますが、3-0,4-1といった圧勝もあり得ると思います。ドイツはオランダ以上に守備は堅いと思われますので、普通であればアルゼンチンは1点取るのが精一杯でしょう。メッシが神がかりプレイで2点でしょうか。PK戦になれば、これはもう神のみぞ知るです。

 

私はアルゼンチンが優勝すると思っています。大会前からそう思っていましたが、理由はメッシが思った以上にマスコミに取り上げられなかったからです。ブラジル大会ということもあって、注目はネイマールに集中しました。これが、却ってメッシ、引いてはアルゼンチンに幸運を齎すのではないかと思いました。御存知のとおり、サッカーファンの間では、とくにアルゼンチン国内ではメッシとマラドーナとではどちらが上かという論争が少なからずあります。バルセロナで大活躍し、史上初の4年連続で4回目のバロンドールを獲得したメッシも、代表では、つまりW杯では目立った活躍もなく、1986年のメキシコ大会で獅子奮迅の活躍でアルゼンチンに2度目の優勝を齎したマラドーナに及ばないとされてきました。そう、『五人抜き』や『神の手』ゴールが有名になった大会です。したがって、今大会を主将で迎えるメッシは、表面上とは裏腹に並々ならぬ闘志をもって大会に臨んでいたと思うのです。それが、これまでのW杯での不振が幸いしたのか、それほどの期待も喧噪もなくここまで来れたと思うのです。これで、アルゼンチンが優勝すれば、それこそ『メッシの大会』と記憶され、名実ともにマラドーナ越えを果たし、論争に終止符を打つことでしょう。

 

 
安岡久遠の「どうする日本、どうなる世界」

サッカーブラジルW杯・準々決勝

『サッカーブラジルW杯・準々決勝』

 

5,6日と準々決勝が行われ、ドイツ、ブラジル、アルゼンチン、オランダが勝ち上がりました。何とも豪華なというべきか、願ってもない4か国が勝ち残ったものです。南米2か国、欧州2か国というのも良いですね。ブラジル、アルゼンチンは南米2強、ドイツ、オランダは欧州3強のうちの2つ。(次回の欧州選手権までスペインを入れておきます)

これで、決勝は欧州同士、南米同士、欧州VS南米といういずれの可能性も残しました。

 

ドイツ-フランス

思いのほか、つまらない試合になりました。ドイツはいつものようにポゼッションするわけでもなく、引いてカウンターを仕掛けるわけでもなく、だらだらとした試合運びに終始しました。そのためポゼッション率は50-50でしたが、シュート数はフランスが上回りました。前半13分という早い時間に得点したので、ドイツはペースを緩めたのかもしれません。情報では何人かがインフルエンザに罹ったらしいので、体力を温存していたのでしょうか。同点にされていたら、またエンジンを掛け直したていたと信じたい。もし、このようなパーフォーマンスであれば、ブラジル戦は苦杯を舐めることになるでしょう。

 

ブラジル-コロンビア

この試合は、思いのほかブラジルが良い試合をしたと思います。ポゼッション率、シュート数は互角でしたが、数字以上にブラジルには余裕が感じられました。勝敗は決定力の違いでした。ようやく、本当のブラジルの力を見た気がしましたが、残念ながらネイマールが骨折してしまい、以降の試合は絶望となってしまいしました。ネイマールには申し訳ないのですが、これが吉と出るか凶と出るか興味津々です。層の厚いブラジルですから、レベルの高い代わりの選手はいると思いますが、さすがにネイマールクラスとなると難しい。逆に、彼のために戦おう、と団結するのはプラスですが、もともと自国開催で士気が高まっていましたから、上積みとなると幅は知れています。ネイマールを失い、ダウンした戦力分を補えるかどうかですが、準決勝の相手がドイツというところが味噌です。オランダやアルゼンチンであれば、メンタルで凌駕できるかもしれませんが、世界一と言っても過言ではないメンタルを持つゲルマン民族ですからね、ネイマールを失い低下した実質分のツケを払わされることになるような気がします。

 

アルゼンチン-ベルギー

この試合もドイツ-フランス戦のドイツと同様、アルゼンチンが省エネの試合運びをしました。これまた前半8分という早い時間に得点してしまったため、無理にポゼッションせず、ベルギーに合わせた試合運びとなりました。シュート数、ポゼッション率がほ同じなのはその結果です。お互いに決定機を逃していますが、アルゼンチンが余裕残しの試合だったと思います。ただ、ディマリアの負傷交代は気になります。私はアルゼンチンの優勝予想ですが、彼が試合に出れないとなると、大きな痛手となります。

 

オランダ-コスタリカ

これはもう、一方的なオランダのペースでした。たしかに、コスタリカにもチャンスは無くはなかったですが、シュート数は3倍以上、ポゼッション率も64-36ですから、印象的にはほとんどコスタリカ側のエリアで戦っていたと言っても良いでしょう。判官びいきの方はコスタリカの健闘を湛えたくなるでしょうが、試合内容は圧倒的にオランダでした。コスタリカを褒めるとすれば、よくぞ120分間耐え抜いて、PK戦に持ち込んだものだということです。これで、コスタリカに大きな勝機が生まれました。俗に、PK戦は試合内容で負けていたチームが有利と言われています。実際のデータがどうなのか知りませんが、おそらく押していたチームの選手たちは『勝てた試合だったのに・・・・・・』というネガティブが精神に陥り、押されていたチームの選手には『負けていてもおかしくない試合だった。自分たちには失うものはない』というポジティブな気持ちが支配するからでしょう。

 

ところが、オランダのファンハール監督はPK戦用のGKを起用するというとんでもない策を用意していました。これは極めて優れた作戦です。交代したGKがどれほどPKに強い選手か知りませんが、前述しましたように、PK戦は押されていた方が精神的に有利となります。そこでファンハール監督は、コスタリカ側の気持ちを動揺させる作戦に出たとみます。コスタリカの選手たちに、『貴重な交代枠を使ってまで、わざわざGKを交代させるということは、相当PKが得意なのだろう』と緊張感を植え付けようとしたのだろうと思います。そうなると、精神的には互角とまではいかなくても、かなり同等になったはずです。結果的にオランダが勝利しましたので、作戦成功だと言えるでしょう。

 

ファンハール監督の頭の中には、最後の交代枠で攻撃的な選手を使い、1点を取り切るという作戦もあったでしょう。だがこの試合は、ポストやバーに4,5度嫌われてたという、流れ的には悪い試合でした。ですから、もう一段攻撃的に行っても、点が取れない可能性が高い。そうなると、ますますPK戦は精神的に不利になる。そうであれば、交代枠は心理作戦に使うという選択をしたのです。試合の流れを読み切った、実に素晴らしい作戦でした。これぞ名監督、名将と言えるでしょう。

 

準決勝ですが、この2試合は死闘となるでしょう。PK戦になったから死闘というのではなく、たとえ4-1でも魂の籠った、激しく攻守の切り替えの早い試合を期待したいと思います。さて、予想ですが、初志貫徹でドイツとアルゼンチンが勝利すると思います。

 
安岡久遠のサイト

サッカーブラジルW杯:決勝T1回戦総括と新代表監督選考

『サッカーブラジルW杯:決勝T1回戦総括と新代表監督選考』

 

決勝トーナメント1回戦の8試合が終了しました。

結果は、延長PK戦が2試合、延長決着が3試合、90分決着が3試合となりました。90分決着のオランダ-メキシコは、終盤までメキシコが優勢でしたから、比較的危なげない試合だったのはフランス-ナイジェリアとコロンビア-ウルグアイの2試合でしょうか。

 

私が勝ちを予想したギリシャはPK負け、アメリカも延長負けでした。、とくにギリシャはコスタリカが10人となったため、内容的には圧倒していましたが、今大会のコスタリカは何か持っているということなのでしょう。ともあれ、勝ち上がった8か国ともグループリーグ1位通過ですから、妥当と言えば妥当な線に落ち着いたということでしょう。

 

さて、高校野球の甲子園大会でも準々決勝が1番面白いと言いますが、今大会の準々決勝も面白い組み合わせになりました。中でもブラジル-コロンビアが一番です。コロンビアはエースのファルカオを欠きながら、この強さ、すばらしいチームですね。ブラジルを食うかもしれません。

 

ブラジルは良いメンバーが揃っているのですが、何かもう一つインパクトに欠けているような気がします。ホスト国ということで、厳しい南米予選を戦っていないことが影響しているのかもしれません。もし、ブラジルが本来の力を発揮し、コロンビアを下せば、一気に優勝まで突き進むかもしれませんが、コロンビアに屈してしまうような気がしてなりません。

 

フランス-ドイツ、私はドイツの勝利を予想しましたが、前回の予想よりフランスの評価は高くなっています。まだ、ドイツを凌駕するまでには至っていないのですが、延長まで縺れ込みそうな気もします。

 

オランダ-コスタリカ、さすがにコスタリカの神通力もここまででしょう。ここで敗れてもコスタリカの健闘は絶賛に値します。

 

アルゼンチン-ベルギー、これはアルゼンチンでしょうね。

 

さて、新聞紙上は次期監督の話題で持ちきりですが、これはもう首を捻るどころか、腹立たしい限りですね。日本サッカー協会のこういう姿勢が、日本サッカー界の成長の障壁となっているのです。なぜ、この時期に新監督を決めるのでしょうか。今大会の分析、評価、総括をしないままに新監督を決める、これって筋が通っていないでしょう。

 

しかも、交渉しているのが原技術委員長とは言語道断です。今大会の惨敗を受けて協会の誰かは責任を取らなければなりません。大仁会長が退任しないのであれば、当然原技術委員長が辞めなければなりません。その責任を取るべき人物に次の監督との交渉を任せるって、背任横領で懲戒解雇になった者に、商談中だからと言って契約を任せるようなものですよ。常識では考えられませんね。

 

新技術委員長には宮本恒靖氏が就任するようですが、筋論とすれば、今大会を総括し日本サッカーの目指す方向を定めた後で、宮本氏の手に委ねるというのが本道でしょう。なぜこれほど急ぐのかわかりません。もし、原氏が交渉を纏め、新監督で結果が出なかったとき、いったい誰が責任をとるのでしょうか。原氏はサッカー協会に残っているのでしょうか。はっきり言って日本サッカー協会の上層部は腐っていますね。

 

たしかに宮本氏は逸材です。日本人の元プロ選手としては初めてFIFAマスターの卒業生となり、今大会でもテクニカルスタディーグループ10名のうちの1人(試合を分析し、技術や戦術、傾向などを分析し、試合ごとのテクニカルリポート及び大会の総括リポートを作成するグループ)に選ばれたという、おそらく将来は会長になる器でしょう。したがって、金の卵に傷を付けたくないという親心なのかもしれませんし、優秀な監督は争奪戦になりますから、早く手を打とうということかもしれませんが、本末転倒の誹りは免れないでしょう。

 

マスコミも相変わらず糞ですな。その点を全く指摘していません。わずかに、2,3名の解説者がTV番組内で疑問を呈したぐらいです。日本サッカーが弱い原因の一つです。

紙面上のアギーレ氏の紹介記事も糞ですな。『メキシコを2度ベスト16に導いた名将』

という冠はいかがなものでしょうか。馬鹿でしょう。

 

メキシコは1994年大会から今大会まで6回連続決勝Tに進出している、いわば決勝T進出常連国です。それを2002年と2010年にキシコを決勝Tに進出させたからといって名将とは呼べないでしょう。ブラジルやドイツがベスト4に進んだからと言ってその監督が名将と言われますか。それなら、日本をアウェー大会で初めて決勝Tに進出された岡田氏の方がよほど名将ですし、今大会前評判を覆したピント氏の手腕の方が優れているでしょう。たしかに、2002年は低迷していたチームを立て直しての決勝T進出ですから評価はされるでしょうが、それにしてもマスコミの馬鹿ぶりは見るに堪えません。(アギーレ氏を否定しているのではなく、彼を名将とする根拠が間違っているということです。そうであれば、彼がスペインリーグでの手腕を評価すべきです)

 

さらに日本のファンにも呆れます。次期代表監督として誰が相応しいかというアンケートで、ストイコビッチ氏、ベンゲル氏などの名が上がりました。いったい、何を学習しているのでしょうか。私は両氏の能力を否定する者ではありません。しかし、W杯本番というのは、いかなベテラン監督でも混乱する舞台なのだということを知ったはずです。

そうであるならば、自分の好みはさておき、まず選択肢の中から、W杯未経験監督は除外して然るべきです。おそらく、Jクラブサポーターやコアなファンはわかっていると思いますが、一般のファンはそういう程度の認識しかないということです。実に嘆かわしいですが、サッカーがその国柄を映すスポーツだとすれば、この現状もまた今回の日本代表惨敗の原因の一つであることは間違いないでしょう。

 

 

安岡久遠の「どうする日本、どうなる世界」

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