マスメディア批判・その4:亡国の徒

注目されていた消費税増税法案に反対票を投じた民主党議員は、鍵となる54名を超える57名でした。
その中心にいる小沢元代表は、民主党を離党して新党を立ち上げるかどうか、逡巡しているようですが、この状況を鑑みるに、
『老いたり、小沢一郎』
の感が否めません。10年前の彼であれば、採決の日に迅速な行動に出ていたことでしょう。彼の政治生命は風前の灯となったことを暗示しています。

さて、採決までの数日間、私は数多くの報道番組やバラエティ番組で小沢元代表を扱ったニュースを見ましたが、その感想は、
『おぞましい』
の一言です。
放送される番組、出演してコメントする評論家、新聞社の編集委員、テレビ局の論説委員の誰も彼もが、小沢元代表の過去の政治行動を論い、あれやこれやと批判していました。

彼らの主張をまとめると、

1. 小沢元代表は政党を創れば壊し、創れば壊した、単なる壊し屋。
2. 小沢元代表の周りは新人ばかりで、深く付き合えば誰もが離れて行く。 
3. 小沢元代表は消費税増税なしに、どうやって財政再建をするのか、具体的に提示していない。
4. 小沢元代表に従って反対票を投ずるのは、せいぜい30名から40名で、54名に届くはずがない。
5. これで、小沢代表の政治的影響力は大きく低下する。
6. たとえ反対の立場であっても、党の結論に従うのが民主主義。

といったもので、まるで事前に申し合わせていたかのように、異口同音の発言が相次ぎました。

彼らは、
『よほど、小沢元代表が憎いのだろうだろう』
『よほど、小沢元代表の政治生命を絶ちたいのだろう』
というのが、私の率直な感想で、寒気がするような嫌悪感を抱いたのです。

その理由を述べる前に、まず断って置きますが、以前にも書きましたように、個人的には小沢元代表は嫌いです。彼の政治手法が私の哲学に反し、彼の推し進めようとする政策が私の求める理想国家像と異なるからです。

しかし、個人的な感情と評価は別物、まして法的な処置については、厳正でなければなりません。それが、先の政治資金規正法違反とする、検察の捜査は明らかに異常な行為で、これは官僚組織の小沢元代表に対する宣戦布告とみるのが妥当でしょう。

なぜなら、官僚たちは、小沢元代表こそ、
『不倶戴天の敵』
だと捉えているからです。

民主党は、政権交代したあかつきには徹底的な行政改革を行い、官僚主導から政治主導に戻すと訴えて選挙に大勝しました。
その中心にいたのが小沢元代表です。ですから、小沢元代表に嫌疑を掛けて民主党人気を低下させ、政権交代を阻もうとしたのです。その限りにおいては、小沢元代表が主張していた『検察陰謀論』は的を射ていたと思います。

しかし、私に言わせれば、
『説明責任を果たさないお前が言うな』
ということになり、国民の大多数が同様に思ったことでしょう。事実は、検察=官僚側の陰謀だと思うのですが、それを主張しても聞き入れてもらえないのは、小沢元代表の自業自得とも言えるでしょう。

それでも、民主党が政権を獲ってしまい、このままでは自分たちの既得権益を侵されると焦った財務省を中心とする官僚側は、次善の策として、何としても小沢元代表の力を削ぎ、彼が権勢を振るえないようにしたいと考えました。
そこで検察と図り(検察も官僚です)本来は修正申告で済む話を大袈裟にし、またありもしない水谷建設や西松建設からの賄賂をでっち上げ(証拠不十分という意味)、あまつさえ検察官が調書を偽造するという暴挙にまで及びました。

もっとも、調書偽造は検事の個人的な犯罪で、財務省が関知していたとは思いませんが、ともかくこの機に乗じて、小沢元代表の政治生命を絶とうとまで画策しました。
結局は、法の正義が通り、不起訴となりましたが、この間散々マスコミを通じて、小沢元代表を叩いた効果から、検察審査会による裁判に持ち込まれました。
これで、事実上官僚側の勝利が確定しました。

本来、小沢元代表が権勢を振るうはずだった、鳩山首相時には、被疑者の身で動けず、売国奴・菅との代表争いには直接敗れ、嘘吐き・野田の時には、代理戦争で敗れ、結局民主党政権になってからは一度も力を振るうことなく、民主党を追われようとしているのです。
これこそが、財務省=官僚が描いた小沢封じだったのです。
小沢元代表の封じ込めに成功した官僚は、何一つ血を流すことなく、財務省の悲願だった消費税の増税に成功したという経緯です。

 
さて、こういった経緯を理解した上で、上記したくず共の主張に反論すると、

1.たしかに壊し屋の異名を付けられても仕方が無い面もありますが、戦後というスパン  
  で俯瞰すれば、いわゆる自民党一党独裁政権が約40年間も続いた訳ですから、政権交代可能な二大政党体制が確立するのにも、同じ程度の時間が必要ではないでしょうか。
  そう考えれば、今は過渡期であり、合従と分裂を繰り返しながら、あるべき姿に形付けられて行くのではないでしょうか。また、小沢元代表がその中心にいるのは、好意的に取れば、彼が信念を曲げず、妥協しないからではないでしょうか。

2.そう意味からすれば、小沢元代表から人が離れて行くことを、彼が悪者のように言っていますが、むしろ離れて行った者たちが変節していったとも考えられるのです。それを、一方的に小沢元代表ばかり批判するのは公平ではないでしょう。
  今回の件にしても、民主党は、
『消費税率は上げない』
と言って政権を獲ったのです。それを、嘘吐き・野田が首相になった途端、掌を返したように消費税率を上げると言い出したのです。
小沢と野田、いったいどちらの言い分が、筋が通っているのでしょうか?
それを、初心を貫徹し、最後まで反対を押し通して離党したら、小沢は壊し屋だと非難される。全く、常軌を逸しているとしか思えません。

まず、まともなのは、政治評論家では森田実氏、ジャーナリストでは田原総一郎氏、評論家・宮崎哲弥氏ぐらいで、後は有象無象の輩でした。

3.中には、小沢元代表の主張は正論と言いながら、財政再建の具体案がないと批判する者や、同じく正論と認めながら、対論である野田首相の批判はしないという不可思議な態度の者もいました。
  彼は、具体案は示しています。とにかく、公務員改革など徹底的な行政改革を行えば、
16兆円という埋蔵金が出るというものです。
こう言うと、反小沢元代表の連中は、
『結局、埋蔵金は無かったではないか』
という鬼の首を取ったように言いますが、実はそうではありません。
鳩山や菅、野田では、財務省を始めとする官僚組織の抵抗に対応することが出来なかった。つまり、
『改革を行ったが埋蔵金は無かった』
というのではなく、
『改革に手を付けることもなく、官僚に屈してしまった』
というのが真実なのです。
この真実に目を背け、埋蔵金は無かったと声高に言う連中は、つまるところ、財務省と結託して、とにかく小沢元代表を貶し、消費税増税法案を成立させたいという目的を共有しているしか思えません。

4.小沢元代表の力の衰えを力説したいだけの輩です。しかも、彼らは誰一人として、自分  
  の予想が外れたことを詫び、釈明した者がいません。その後も、何食わぬ顔で番組に出演し、
『ああだ、こうだ』
と、偉そうに論じています。厚顔無恥とはこのことです。

5.これに関しては、私も同意します。私は嫌いですが、稀代の政治家であったことは確かでしょう。ちょっと、誉め過ぎですが、少なくとも、ボンクラ・鳩山、売国奴・菅、嘘吐き・野田よりは、数段上の力量の持ち主でしたが、それを国民のために使うことなく、(もっとも、国民に尽くす気があったかどうかは不明ですが・・・・)財務省=官僚の手によって葬り去られたと言っても良いでしょう。

6.これは一見正論のようですが、はたしてそうでしょうか。確かに政権公約を具体化する過程で意見が対立したのなら、そう言えますが、政権公約を破棄し、全く逆の政策を推し進めようとしている執行部に対して、反旗を翻すのはむしろ当然のことで、それはつまり、党より国民との約束を重視している訳ですから、反対票を投じた議員こそ、民主主義を貫いていると言えます。

私は、
『小沢元代表を批判するな』
とは言いません。批判して結構ですし、批判されるべきでしょう。しかし、小沢元代表を批判するならば、野田首相は彼の二倍、三倍、いや十倍批判されてしかるべきです。

ちょっと、語弊あるかもれませんが、
仮に、例の陸山会の四億円、小沢元代表が賄賂で取得したものとしましょう。そして、上手く司直の手を逃れて無罪放免になったとします。
私は、それでも野田首相の方が遥かに罪深いと思います。
確かに、小沢元代表は刑事罰が相当で、野田首相には刑事的な罪はありません。しかし私は、平然と公約を破り、それはつまり国民との約束を破棄し、そればかりか正反対の政策を推し進めるのは、民主主義を冒涜するものであり、万死に値する罪深き所業と考えます。

もし、これを是とするなら、選挙のとき国民はいったい何を頼りにして、一票を入れたらよいのでしょうか。しかも、国民に信を問うことなく、任期満了まで政権を運営したら、日本国を滅亡に追い込むことだって有り得るでしょう。

極論ですが、どこかの国と戦争するかどうかが焦点になった選挙で、国民が、
『戦争はしない』
という選択をしたにも拘らず、政権を獲った途端、
『戦争開始』
となったら、貴方は許せますか?

もちろん、戦争と消費税を同列に扱うことはできません。しかし、消費税でこのような事態になるということは、その延長線上に確かに存在する『戦争』という命題に突き当たる可能性はあるのです。
消費税と戦争という命題の間にどれくらいの距離があり、どれほどの高い壁があるかはわかりませんが、すくなくとも消費税という命題のときに、民主主義の原点を死守することは肝要だと思います。

そういう意味では、野田首相を始め、民主党執行部、消費税増税に賛成の民主党議員、マスメディア、小沢元代表のみを非難する評論家諸氏は、すべからく『亡国の徒』だと言わざるを得ません。

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